【第16回】第2章 人体の働きと医薬品 2)骨格系 3)筋組織
こんにちは!登録販売者試験の勉強、お疲れさまです。
「人体の構造と機能」の分野は覚えることが多いですが、知れば知るほど「人の体ってよくできてるなぁ」と感じられる面白い分野ですよね。
今回は、私たちの体を支える大黒柱「骨格系」について、試験の手引きの流れにそって、やさしく整理していきましょう。
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骨格系をマスターしよう!体を支える「骨」と「関節」のはたらき
1.骨格系って、何をしているの?
骨格系とは、「骨」と「関節」からできた体の支えのシステムです。
骨と骨が関節というつなぎ目でしっかり連なり合うことで、私たちは立ったり、動いたりすることができています。
家にたとえるなら「骨格系=柱や梁(はり)」のような存在。
つまり、体を形づくり、支える大切な土台なんですね。
まとめ
- 骨格系は「骨」と「関節」で構成されている
- 骨同士が関節でつながり、体全体を支えている
2.骨の基本構造を見てみよう
「骨」って一見ただの固い棒のように思えますが、実は4つの組織からできているんです。
それぞれが大事な役割を持っていて、骨の強さや柔軟さを支えています。
骨の構造をつくる4つの組織
- 骨質(こつしつ) … 骨のメインとなる部分
- 骨膜(こつまく) … 骨の表面を包む膜
- 骨髄(こつずい) … 骨の中にある組織。血液をつくる大切な場所
- 関節軟骨(かんせつなんこつ) … 骨と骨が接する部分にある、クッションのような組織
3.骨のすごい5つの働き!
「骨は体を支えるもの」だけではありません。
実は、私たちの命を守るために5つのすごい役割を担っているんです。
- 身体各部の支持機能 … 頭や内臓を支える“体の支柱”
- 臓器保護機能 … 肺や心臓などの大事な臓器を、外の衝撃から守る
- 運動機能 … 筋肉の収縮する力を、効率よく動きに変える
- 造血機能(ぞうけつきのう) … 骨髄で産生される造血幹細胞から赤血球や白血球、血小板が分化することにより体内に供給される。
- 貯蔵機能 … カルシウムやリンなどのミネラルを蓄える“貯金箱”のような役割
中でも「造血機能」と「貯蔵機能」は、試験でもよく問われる大切なポイントです!
4.骨は生きている!新陳代謝と成分の話
骨って、成長が止まったらもう変わらない…と思っていませんか?
実は骨も一生を通じて新陳代謝(リモデリング)を繰り返す“生きた組織”なんです。
🩵 新陳代謝(リモデリング)
- 「骨吸収(古い骨を壊す)」と「骨形成(新しい骨をつくる)」を常に繰り返している
- このバランスが保たれることで、骨密度が一定に保たれる
- 骨からカルシウムが溶け出す一方で、同じくらいの量が沈着している
🩶 骨をつくる成分
- 無機質(石灰質) … 炭酸カルシウムやリン酸カルシウムなど。骨の「硬さ」をつくる
- 有機質(主にコラーゲン) … 骨の「しなやかさ・粘り強さ」(強靭さ)をつくる
この2つのバランスが崩れると、骨がもろくなったり、しなやかさを失ったりしてしまいます。
5.関節ってなに?動きの仕組み
関節とは、骨と骨がつながる部分のこと。
腕や足を自由に動かせるのは、この関節があるおかげです。
その中でも、動かせる関節を「可動関節」と呼びます。
この関節がスムーズに動くためには、いくつかの組織が協力しあっています。
関節を支える主な組織
- 関節軟骨 … 衝撃を吸収し、滑らかな動きを助ける
- 滑膜(かつまく) … 関節のまわりを包み、潤滑液を出して動きをサポート
- 靱帯(じんたい) … 骨をしっかりつなぎ、関節を固定・補強する
🦴 豆知識コーナー(もう一歩ふかめよう)
豆知識①:カルシウムの貯蔵ってどうして大事なの?
骨の中でカルシウムが出たり入ったりするのは、血液中のカルシウム濃度を一定に保つため。
これが崩れると、筋肉や神経の働きに支障が出てしまいます。
つまり、骨はカルシウムの「貯蔵庫」であり、体全体のバランスを守る調整役なんですね。
まとめ
骨格系は、体を支えるだけでなく、守り・動かし・つくり・蓄える、まさに「生命を支える多機能システム」です。
構造をイメージしながら覚えると、ぐっと理解しやすくなりますよ。
筋組織(骨格筋・平滑筋・心筋)
次は、私たちの体を動かし、支えている「筋組織(筋肉)」です。
筋肉と聞くと「力こぶ💪」を思い浮かべる人も多いですが、実は心臓を動かしたり、食べ物を消化したりと、意識しないところでも活躍しているんですよ。
専門的な知識も、イメージしながら覚えるとグッと理解が深まります。
では、一緒に見ていきましょう!
筋組織ってなんだろう?分類と特徴をチェック!
💡筋肉は体の縁の下の力持ち!
「よし、歩こう!」「腕を上げよう!」と意識して動かすときも、
寝ている間に心臓が動いているときも、
その働きを担っているのが 筋組織 です。
筋組織は主に筋細胞(筋線維)と結合組織からできています。
🧩3つのタイプに分類!
筋組織は、機能や見た目(形態)によって3種類に分けられます。
| 名称 | どこにある? | どんな役割? |
|---|---|---|
| 骨格筋 | 骨に付着(腱を介して) | 関節を動かす、運動器官 |
| 平滑筋 | 消化管壁、血管壁、膀胱など | 内臓の動き、持続的な収縮 |
| 心筋 | 心臓壁 | 心臓を動かす |
働き・機能:意識できる?できない?で整理!
筋組織を理解するうえで大切なのが、
「自分の意思でコントロールできるかどうか」という視点です。
🚗 骨格筋:自分で動かせる「随意筋」
骨格筋は、関節を動かす運動器官そのもの。
自分の意識どおりに動かせるため、「随意筋(ずいいきん)」と呼ばれます。
まるでハンドルを握って運転する車のような存在です。
- 見た目の特徴:横縞模様(横紋)が見える →「横紋筋」
- 力の強さ:収縮力が強い
- 支配神経:体性神経系(運動神経)
💬 豆知識
骨格筋は「腱(けん)」を介して骨につながっています。
腱は結合組織のみでできており、筋肉のように伸び縮みしにくいのが特徴です。
🏭 平滑筋と心筋:自動で動く「不随意筋」
意識的に「動け!」と命令できない筋肉が「不随意筋(ふずいいきん)」。
自律神経によって自動で動いています。
🧘♀️ 平滑筋:内臓を動かす職人
- 分布:消化管・血管・膀胱など
- 見た目:横縞模様(横紋)はなし
- 働き:弱い力で持続的に収縮
- 支配神経:自律神経系
❤️ 心筋:最強のポンプ!
- 分布:心臓壁
- 見た目:横紋あり(骨格筋に似ている)
- 働き:強い収縮力+持久力
- 支配神経:自律神経系
💬 ポイント
心筋は「不随意筋なのに横紋がある」という例外的な筋肉です。
試験でよく狙われるので要チェック!
筋組織の分類まとめ表
| 筋組織 | 随意/不随意 | 横紋の有無 | 支配神経 |
|---|---|---|---|
| 骨格筋 | 随意筋(意識で動かす) | あり | 体性神経系(運動神経) |
| 平滑筋 | 不随意筋(意識で動かない) | なし | 自律神経系 |
| 心筋 | 不随意筋(意識で動かない) | あり | 自律神経系 |
🦴 豆知識コーナー(もう一歩ふかめよう)
💫 筋肉の動きを助けるカルシウム
カルシウムは、骨を丈夫にするだけでなく、
筋収縮や神経伝達にも関わる大切な成分です。
筋肉が動くとき、カルシウムが細胞内で働くことで収縮が起こります。
⚡ 骨格筋の疲労とは?
骨格筋は強く収縮できる一方で、疲れやすいのが弱点。
運動を続けると、
- エネルギー源(グリコーゲン)が減る
- 酸素や栄養の供給が不足する
- 乳酸がたまり、収縮が低下する
といったメカニズムで「筋肉疲労」が起こります。
試験での押さえどころ💡
- ✅ 随意筋は「骨格筋」だけ!
- ✅ 不随意筋は「平滑筋と心筋」
- ✅ 横紋筋は「骨格筋と心筋」の2つ
- ⚠️ 心筋は例外的:「不随意+横紋あり」!
まとめ
今日は、筋組織の3種類とその違いをしっかり整理しました。
随意筋と不随意筋、横紋の有無、支配神経の対応を押さえれば、得点につながります!
次回は「骨の働き」について学んでいきましょう🦴✨
一歩ずつ、確実に理解を積み重ねていきましょうね。
それではさっそく過去問を解いてみましょう!
過去問にチャレンジ!(令和6年度・関西広域連合 後半)
【問69】
骨格系及び筋組織に関する記述の正誤について、正しい組合せを選べ。
- a 骨の成長が停止すると骨吸収と骨形成は行われず、カルシウムが骨から溶け出し骨密度は低下する。
- b 骨の関節面は、弾力性に富む柔らかい軟骨層に覆われており、衝撃を和らげ、関節の動きを滑らかにしている。
- c 骨格筋の疲労は、乳酸の代謝に伴って生成するグリコーゲンが蓄積し、筋組織の収縮性が低下する現象である。
- d 心臓壁にある筋組織は、消化管壁や膀胱等に分布する筋と同様に、自律神経に支配される平滑筋に分類される。
| a | b | c | d | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 正 | 正 | 誤 | 誤 |
| 2 | 正 | 誤 | 正 | 正 |
| 3 | 誤 | 正 | 誤 | 誤 |
| 4 | 正 | 誤 | 正 | 誤 |
| 5 | 誤 | 誤 | 正 | 正 |
🧩 まとめ:骨と筋肉で支える私たちの体
骨格系と筋組織は、まるで「建物の骨組みと動力」のような関係です。
骨は体を支える柱であり、筋肉はその柱を動かすエンジン。
どちらかが欠けても、私たちは立ち上がることも動くこともできません。
- 骨格系:体を支え、内臓を守り、カルシウムを貯える
- 筋組織:骨を動かし、内臓を動かし、心臓を動かす
また、筋肉の収縮にはカルシウムが深く関わっています。
「骨のカルシウム」と「筋肉のカルシウム」、実は体の中で密接につながっているんですね!
登録販売者試験では、
👉 骨の成長・代謝とカルシウムの関係
👉 筋組織の分類(骨格筋・平滑筋・心筋)
👉 随意/不随意、横紋の有無、支配神経
といった点がよく出題されます。
このあたりをしっかり整理しておけば、得点につながる内容です💪✨
🧠 次回予告:脳と神経の働きを見てみよう!
次回は、体の司令塔「脳」と「神経」について解説します。
筋肉を動かす「命令」はどこから出ているのか?
自律神経って何をしているの?
そんな疑問をスッキリ解決しながら、
「神経系のしくみと働き」をわかりやすく学んでいきましょう🧩おたのしみに!



