【第20回】第2章 人体の働きと医薬品 Ⅲ症状からみた主な副作用 ◆ 全身的にあらわれる副作用(ショック/アナフィラキシー・SJS/TEN)
🌿 Ⅲ:症状からみた主な副作用
こんにちは、登録販売者を目指すみなさん、お疲れさまです✨いよいよ本格的な冬になってきましたね。風邪などを引かぬよう、しっかり栄養を摂って暖かくお過ごしくださいね。睡眠も大事です。忙しない時期ですが意識して時間を作って体を労わってあげてくださいね。
それでは今回から、症状からみた主な副作用について学んでいきます。
前回は「薬が体の中でどんなふうに働くのか」を学びました。
身近な薬も、体内では複雑に作用していて、その仕組みを理解すると “なぜ副作用が起きるか” がぐっと分かりやすくなります。
今回からは、いよいよ副作用の具体例に踏み込みます。
むずかしく考えず、試験で「あ、これ覚えてる!」と思えるように、やさしく丁寧に整理していきますね。
本日は、全身的にあらわれる副作用のうち、特に試験で頻出の
ショック(アナフィラキシー)/アナフィラキシー様症状/皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)SJS/中毒性表皮壊死融解症(TEN )を解説します。
1. 全身的にあらわれる副作用とは?
副作用の中でも、短時間で全身に強い症状が広がるタイプを指します。
登録販売者としては「すぐ気づく」「すぐ対応する」必要がある副作用で、特に重篤なものを押さえておくことが大切です。
2. ショック(アナフィラキシー)
◆ 大まかな説明
アナフィラキシーは、薬を使った後に短時間で全身に急激なアレルギー症状が出る状態です。
「急にぐったりする」「息苦しい」「冷や汗」「蕁麻疹」など、見た目ですぐ異変が分かることが多く、最重要の副作用です。
◆ 症状(手引き準拠)
- 皮膚:かゆみ、蕁麻疹、発赤
- 呼吸:息苦しさ、ゼーゼー、呼吸困難
- 循環:脈が速くなる、血圧低下、手足が冷たい
- 消化器:腹痛、吐き気、嘔吐
- 全身:ぐったりする、意識がぼんやりする
◆ 補足:アナフィラキシー様症状(手引き準拠)
初めて使用した医薬品で起きる場合などを含み、原因がアレルギーかどうかは不明。
ショック(アナフィラキシー)と類似の症状が現れ、対応も同様です。
◆ まとめ
- 短時間で全身に現れる
- 見た目の変化が分かりやすい
- 迅速な対応(救急要請)が必要
- アナフィラキシー様症状も症状・対応は同じ
3. 重篤な皮膚粘膜障害(SJS・TEN)
試験で超頻出の領域です。手引きに書かれている事実を整理して覚えましょう。
| 項目 | 皮膚粘膜眼症候群(SJS) | 中毒性表皮壊死融解症(TEN) |
|---|---|---|
| 特徴 | 重篤な皮膚・粘膜障害が急速にあらわれる | SJSと同様に重篤で、より広範囲に皮膚症状が及ぶ |
| 原因 | 医薬品が主な原因 | 同じく医薬品が主な原因 |
| 症状 | 発熱(多くは38℃以上)、発疹、紅斑、目や口の粘膜症状 | SJSと同じ種類の症状がより広範囲に起こる |
| 発症のタイミング | 原因医薬品使用開始後2週間以内に発症することが多いが、1か月以上経過して起こることもある | 同様に、2週間以内が多いが1か月以降の例もある |
| 経過 | 比較的短時間で症状が進行 | 短時間で急速に進行し、全身状態が悪化しやすい |
| 発生頻度 | 人口100万人あたり年間1〜6人 | 人口100万人あたり年間0.4〜1.2人 |
◆ やさしい解説
・皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)・中毒性表皮壊死融解症はどちらも「発熱 → 皮膚症状 → 粘膜症状」の順で症状が現れます。
最初は38℃以上の発熱があり、その後に皮膚の赤みや唇のただれ、目の痛みなどが出てきます。
大事なポイントは、原因の医薬品を飲み始めて2週間以内に出ることが多い こと。
ただし、1か月以上経ってから発症する場合もあります。
試験では「2週間以内+例外あり」という形でよく出題されます。
◆ まとめ(試験で覚えるべき点)
- SJS・TEN はどちらも重篤な皮膚粘膜障害
- 発熱は38℃以上が多い
- 発症時期:2週間以内が多い/1か月以上の例もある
- 発生頻度の数字も試験で出たことがある
- 対応は緊急対応が必要な重篤副作用

皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)・中毒性表皮壊死融解症は頻出です。まずは、スティーブンス・ジョンソン症候群を覚えて、そのひどくなった進展形が中毒性表皮壊死融解症と覚えるとよいでしょう。その解説をを逆にして出題された問題もありましたのでそれぞれの特徴をよく覚えておきましょうね。
それではさっそく過去問を解いてみましょう!
過去問にチャレンジ!(令和7年度・関西広域連合)
【問76】
医薬品の副作用として現れる皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)及び中毒性表皮壊死融解症に関する記述の正誤について、正しい組合せを選べ。
- a どちらも典型的な症状として、38℃以上の高熱、目の充血、口唇のただれ、喉の痛み、広範囲の皮膚の発赤等が現れる。
- b 皮膚粘膜眼症候群の進展型が中毒性表皮壊死融解症とみられる。
- c どちらも原因医薬品の使用開始後、2週間以内に発症することが多い(1か月以上経つ場合もある)。
- d どちらも発症機序の詳細は不明である。
| a | b | c | d | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 正 | 誤 | 正 | 誤 |
| 2 | 誤 | 正 | 正 | 誤 |
| 3 | 誤 | 誤 | 正 | 正 |
| 4 | 正 | 正 | 誤 | 誤 |
| 5 | 正 | 誤 | 誤 | 正 |
🌿 次回予告
次回は引き続き副作用について、肝機能障害や病気による抵抗力低下など、体の内部で起こる重要な変化を学びます。
副作用の種類をしっかり押さえて、試験でも即座に判断できる力を身につけていきましょう!



