【第7回】第2章 人体の働きと医薬品 循環器系

はじめに:循環器系ってなに?
みなさん、こんにちは。
突然ですが、「循環器系」と聞いてどんなイメージが浮かびますか?
ちょっと難しそうな言葉ですよね。
でも実はとってもシンプルで、循環器系は 体の中で血液やリンパ液をぐるぐる回す仕組みのこと なんです。
心臓というポンプが血液を押し出し、血管という道路を通って全身に栄養や酸素を届ける。
さらに、その血液の中には宅配便のようにいろいろな成分が乗っていて、体を守ったり修理したりしています。
つまり循環器系は、体を動かすための物流ネットワーク。
- 心臓 → ポンプの役割
- 血管 → 道路(高速道路から細い路地まで!)
- 血液 → 運ぶトラック(荷物=酸素・栄養・ホルモンなど)
- 脾臓 → 古いトラックをリサイクルする施設
こんなふうに考えるとイメージしやすいですよね。
これを知っておくと「なぜこの臓器が大切なのか」がスッと理解できるはずです。
ではさっそく見ていきましょう!
心臓のはたらき
心臓は、私たちの体の「ポンプ」です。
胸の真ん中、胸骨の後ろにドンと構えていて、24時間休まず働いてくれています。
心臓には 右心房・右心室・左心房・左心室 の4つの部屋があって、まるでマンションの間取りみたいに役割分担をしています。
心臓は胸骨の後ろにある体の「ポンプ」です。休むことなく動き続け、血液を全身に送り出しています。
中には4つのお部屋があり、それぞれ役割があります。
- 心房 → 血液が集まるところ
- 心室 → 血液を押し出すところ
👉 たとえば、肺で酸素をもらった血液は左心房に入ってきて、左心室から全身へと元気よく送り出されます。
逆に、酸素を使い終わった血液は右心房に集まり、右心室から肺へ送られてリフレッシュ!
こうして血液がぐるぐる回ることで、体は生き生きと活動できるんです。
まるで「片道切符の往復旅行」のように、血液はいつも同じルートで回っています。
血管のはたらき
血液が流れる道、それが「血管」です。
血液は心臓から拍出されて血管の中を通って全身を巡り、また心臓に戻ってきます。「閉鎖系循環系」とも呼ばれています。
また、血管は1種類ではなく、いくつかに役割分担がなされているのです。
- 動脈:心臓から血液を送り出す「高速道路」。分厚くて強い。
- 静脈:血液を心臓に戻す「帰り道」。逆流防止の弁付き。
- 毛細血管:とっても細い「小道」。酸素や栄養を細胞に届け、二酸化炭素や老廃物を回収。
そして特別ルートが「門脈」。
消化管からきた血液は、いきなり全身に行かずにまず肝臓へ。
なぜかというと、食べ物だけじゃなくアルコールや毒素も入ってくるから。
一度「検査所(肝臓)」を通して、安全確認してから全身に回る仕組みなんですね。
血液のはたらき
血液は体の「宅配便」です。
酸素・栄養・ホルモンを届けて、二酸化炭素や老廃物を回収。まさに物流サービスのプロ。
血液は 血漿(約55〜60%)と血球(約40〜45%) に分かれています。
血漿(けっしょう)
さて、次はトラック=「血液」のお話です。
血液は大きく分けると 血漿(けっしょう) と 血球 に分かれています。
血漿(けっしょう)
血液の約55~60%を占める液体部分で、その約90%が水。残りがタンパク質や電解質などです。
血漿のタンパク質には大事な3つがあります:
- アルブミン
これは血漿の中で一番多いタンパク質。
血液の水分バランスを保ち、薬や栄養素を「船に乗せて運ぶ」役目があります。
もしアルブミンが少なくなると、血液の水分が外に漏れ出して「むくみ」が起きることも。 - グロブリン
こちらは「免疫チームの守護神」。
中でも 免疫グロブリン(抗体) が有名で、ウイルスや細菌が体に入ってきたときに「敵だ!」とやっつける武器になります。 - フィブリノゲン
出血したときに活躍する「糊(のり)」のようなタンパク質。
血小板と力を合わせて血を固め、出血を止めてくれるんです。
つまり血漿は、ただの水ではなくて、物流の川+免疫の盾+出血ストッパー。
「運ぶ・守る・止める」全部をこなす、すごい液体なんですね。

豆知識:フィブリノゲンとフィブリン
フィブリノゲンはまだ液体に溶けた「材料」。ケガをするとトロンビンの働きで「フィブリン」という糸状になり、ネットを作って血を固めます。
👉 名前の「ogen」は“前の形”を意味するので、試験でも見分けやすいですよ。
血球(けっきゅう)のはたらき
次に登場するのが「血球」。
これは血液の中を流れる 小さな働き者のチーム です。
3つの役割分担があって、それぞれが体を守るために大活躍しています。
- 赤血球(せっけっきゅう)
真っ赤な円盤型の細胞。ヘモグロビンという色素を持っていて、酸素を運ぶ「配送ドローン」のような存在です。
肺で酸素を積み込んで、全身の細胞にお届け。代わりに二酸化炭素を受け取って、また肺へ戻っていきます。
私たちが息を吸って吐くたびに、この赤血球たちがせっせと働いているんですね。 - 白血球(はっけっきゅう)
体の「警備員」。病原体が侵入するとすぐに戦ってくれます。
中でも、
👉 好中球 は細菌をパクッと食べて処理する掃除屋。
👉 リンパ球 はウイルスに対抗する作戦参謀。抗体を作ったり、感染した細胞を攻撃したり。
👉 単球(マクロファージ) は大きなゴミ収集車。異物を食べるだけでなく、ほかの免疫細胞に「敵の情報」を伝えてチーム戦をサポートします。
白血球が少ないと、風邪や感染症にかかりやすくなるんですよ。 - 血小板(けっしょうばん)
血小板は、小さな円盤状の細胞。出血するとすぐに傷口に集まり、壁にくっついてふさぎます。 - さらに「フィブリノーゲン → フィブリン」に変化させ、強いかさぶたを作ります。
- 👉 出血が止まる仕組みを「止血機構」といい、血小板と血漿タンパク質の協力プレーなんですね。
もし血小板が少なければ、ちょっとしたケガでも血が止まらなくなってしまいます。
こうして血球たちは、運ぶ・守る・修理する の役割を分担しながら、毎日黙々と働いてくれているんですね。
血小板のはたらき
血小板は、血管が傷ついたときの「応急修理屋さん」。
ケガをするとすぐに集まってきて、血を止める準備をします。
「フィブリノゲン」とタッグを組んで血液を固めると、やがて「かさぶた」になります。
私たちがケガをしても大出血しないのは、このチームワークのおかげなんですね。
脾臓(ひぞう)のはたらき
脾臓は、お腹の左上にある臓器。ちょっと地味ですが大事な役割を持っています。
- 古い赤血球を壊す(リサイクル工場)
- 免疫を助ける(抗体を作る)
- 必要に応じて血液をためておく(予備タンク)
つまり「掃除屋さん+免疫の助っ人+血液倉庫」。
まさに縁の下の力持ちなんですね。
まとめ:循環器系のキーワード表(試験対策用)
分類 | 主な内容 | ポイント |
---|---|---|
心臓 | 右心房・右心室・左心房・左心室 | 心房=血液が集まる / 心室=血液を押し出す |
血管 | 動脈・静脈・毛細血管・門脈 | 動脈=送り出す / 静脈=戻す / 門脈=肝臓へ |
血漿 | 約55〜60%、水が90%以上 | アルブミン・グロブリン・フィブリノゲン |
血球 | 約40〜45% | 赤血球・白血球・血小板 |
血小板 | 止血作用 | フィブリノゲンと協力して血液凝固 |
脾臓 | 左上腹部 | 古い赤血球の処理・免疫・血液の貯蔵 |
おわりに:次はリンパ系へ!
ここまでで「循環器系」の旅はひとまず完了です。
心臓がポンプとなり、血管という道を通って、血液がせっせと働いてくれている様子が少しイメージできましたか?
でも体の「流れ」を支えているのは血液だけではありません。
次回は リンパ系 です。血液と似ているけど、体を守る仕組みがちょっと違います。試験でもよく出る分野なので、また一緒に楽しく学んでしていきましょうね。





