【第18回】第2章 人体の働きと医薬品 Ⅱ 薬が働く仕組み 1)薬の生体内運命
💊 薬が体内でたどる道!全身作用と生体内運命を徹底解説
こんにちは!登録販売者を目指すみなさん、お疲れさまです✨
薬を飲んだり貼ったりしたときに、「どうして効くんだろう?」「なんで副作用が出ちゃうんだろう?」と感じたことはありませんか?
今回は、薬が体の中に入ってから、どんなふうに働き、どんな道を通って体の外に出ていくのか──つまり「薬の旅路(=生体内運命)」について学んでいきましょう。
専門用語も出てきますが、イメージしやすいたとえを交えながら、一緒に理解を深めていきますね🌿
📍 導入:薬の作用は「宅配便」にたとえられる!
薬の働き方には、大きく分けて2つのタイプがあります。
それはまるで、「薬という荷物を目的地に届ける宅配便🚚」のようなイメージです。
- ① 局所作用(きょくしょさよう)
薬を塗ったり貼ったりした“その場所”で直接効果を発揮するタイプです。
たとえるなら「お店でテイクアウトする」ようなもの。反応がすぐに現れやすいのが特徴です。 - ② 全身作用(ぜんしんさよう)
薬が体内に吸収され、血液に乗って全身をめぐり、目的の場所で効果を発揮します。
これは「全国配送ネットワークを使って遠くに荷物を届ける」ようなもので、少し時間がかかります。
💡 内服薬(飲み薬)の多くはこの全身作用を目的としています。
ただし、膨潤性下剤(お腹の中で膨らむ薬)や生菌製剤(乳酸菌など)のように、
消化管内で作用して吸収されないタイプは局所作用に分類されます。
🔍 構造の説明:薬の「生体内運命」ってなに?
全身作用をもたらす薬が体内でどう動くのか──
これを理解することは、薬の効き目や副作用を正しく把握するうえでとても大切です。
薬が体内を旅するときは、大きく次の3ステップに分かれます👇
| 名称 | どんな役割? |
|---|---|
| 吸収(きゅうしゅう) | 有効成分が消化管・粘膜・皮膚などから血液中に入ること。 |
| 代謝(たいしゃ) | 血液に入った成分が肝臓などで化学的に変化すること。 |
| 排泄(はいせつ) | 変化した成分(代謝物)や未変化の成分が体外へ出ていくこと。 |
つまり、薬が効くためには「まず血液に入ること(=吸収)」が欠かせないんですね。
💡 働き・機能:薬が吸収されて、体から出るまでの流れ
1️⃣ 消化管(口〜腸)からの吸収(内服薬の場合)
多くの内服薬は、消化管から有効成分を吸収して全身に作用します。
👉 まず準備段階!
錠剤やカプセルのような固形薬は、まず崩壊して溶け出す必要があります。
ほとんどの薬は胃で溶け、有効成分が小腸へと進みます。
👉 メインの吸収場所は小腸!
有効成分は主に小腸の壁から吸収されます。
吸収は「濃いところから薄いところへ自然に広がる」受動拡散によって起こることが多いです。
🚨 注意!
吸収の速さや量は、食べ物や他の薬の影響を受けます。
また、成分によっては胃や腸の粘膜を刺激することがあるため、服用タイミングが決められています。
2️⃣ 粘膜や皮膚からの吸収(内服薬以外)
内服以外にも、粘膜や皮膚から吸収されて全身作用を示す薬があります。
✨ 坐剤・舌下錠の特急ルート!
坐剤(ざざい)は直腸粘膜から、舌下錠(ニトログリセリンなど)は口腔粘膜から吸収されます。
これらのルートのすごい点は、吸収された成分が肝臓を経由せずに心臓に届くこと。
まさに「肝臓の関所(検査所)をスキップできる特急ルート🚄」です。
- メリット:全身作用がすばやく現れる!
🚨 鼻や目からの吸収と副作用
- 鼻腔の粘膜:血管が多いため、点鼻薬の成分が血液に入りやすいです。
一般用点鼻薬は局所作用目的ですが、吸収された成分が全身に回ると副作用が出ることも。 - 眼の粘膜:点眼薬の成分が鼻涙管を通って鼻に流れ、そこから吸収されることも。
この場合、目以外に作用して副作用を起こすことがあります。
👉 目頭を押さえて、成分が鼻へ流れないようにするのが大切です。
3️⃣ 皮膚からの吸収
塗り薬や貼り薬は、通常は局所作用が目的ですが、
広い範囲に塗ったり、頻繁に使うと、成分が血液に入り全身作用が現れることもあります。
皮膚から吸収された場合も、粘膜吸収と同じく、肝臓で代謝を受ける前に全身に広がるのが特徴です。
🔬 3️⃣ 代謝(体内での変化)
吸収された薬は体の中で化学的に変化します。これが「代謝」です。
- 代謝とは? 成分が分解されたり、別の物質と結合して構造が変わること。
- 結果:
- 効果を失う(不活性化)
- 逆に効果が現れる(代謝的活性化)
- 水に溶けやすくなり排泄されやすくなる
🚰 4️⃣ 排泄(体外への排出)
代謝された成分や、変化しなかった薬が体外に出ていくことを排泄といいます。
- 主な経路:腎臓 → 尿
- その他:肝臓 → 胆汁、肺 → 呼気
- そのほか、汗や母乳中にも出ることがありますが、量は少なめ。
ただし💡母乳への移行は、乳児への副作用のリスクがあるため注意が必要です。
⚙️ 関連するポイント:「体内の関所」と「運び屋」
📍 肝初回通過効果(かんしょかいつうかこうか)
内服薬が体内を旅するときの最大の難所です。
消化管で吸収された薬は、まず門脈という血管を通って肝臓へ。
このとき、肝臓の酵素によって代謝を受けるため、全身に届く前に量が減ってしまうのです。
👉 イメージ:肝臓は「最初の関所」!
ここで多くの成分がチェック(代謝)され、減ってしまう現象を肝初回通過効果と呼びます。
📍 血漿タンパク質との結合
血液中の薬は、血漿タンパク質(けっしょうたんぱくしつ)と結合して運ばれます。
👉 イメージ:血漿タンパク質は「守りのボディーガード🛡️」!
結合している間は代謝されにくく、腎臓から排泄されにくいため、薬が長く体内にとどまります。
これが作用が持続する理由の一つです。
🚨 トラブルや関連症状:臓器機能の低下と副作用
薬の代謝や排泄を担う臓器(肝臓・腎臓)が弱ると、体内に薬がたまりやすくなります。
🫀 肝機能が低下していると…
肝臓で代謝されにくくなるため、薬が全身に多く回って効きすぎたり副作用が出やすくなります。
💧 腎機能が低下していると…
尿への排泄が遅れ、血液中の薬が減らずに過剰作用を起こすことがあります。
🩹 外用薬の副作用にも注意!
局所作用の薬でも、塗った場所が刺激を受けたり、
点眼薬・うがい薬のように微量でアレルギー性副作用(ショックなど)を起こすことがあります。
💡 試験での押さえどころ!
📖 よく出るポイントをチェック!
1️⃣ 全身作用 vs 局所作用
全身作用には「血液中への移行」が必須。
内服薬でも、膨潤性下剤などは吸収されず局所作用。
2️⃣ 吸収ルートと肝臓
- 経口吸収:肝初回通過効果を受ける。
- 舌下・坐剤・経皮吸収:肝臓を経由せず、速やかに全身作用!
3️⃣ 臓器機能低下の影響
肝・腎の機能低下で薬が排出されにくくなり、副作用が増えやすくなる。
4️⃣ 血漿タンパク質結合
結合中は代謝・排泄されにくく、作用が長く続く。
薬の「旅の地図」をイメージできると、薬のはたらきがぐっと理解しやすくなります🌏
焦らず一歩ずつ、確実に知識を積み重ねていきましょう。
あなたの努力は、必ず結果につながります✨
次のステップでは、実際の試験でよく問われる「吸収・代謝・排泄」の過去問にチャレンジしてみましょう💪
過去問にチャレンジ!(令和7年度・関西広域連合)
【問72】
薬が働く仕組みに関する記述の正誤について、正しい組合せを選べ。
- a 全身作用を目的とする医薬品では、その有効成分が吸収されて、循環血液中に移行することが不可欠である。
- b 有効成分が吸収されるにつれて、その血中濃度は上昇し、ある最小有効濃度(閾いき値)を超えたときに生体の反応としての薬効が現れる。
- c 有効成分の血中濃度は、ある時点でピーク(最高血中濃度)に達し、その後は低下していくが、これは代謝・排泄せつの速度が吸収・分布の速度を上回るためである。
- d 舌下錠は、有効成分を舌下で溶解させる剤形で、薬効を期待する部位は口の中や喉である。
| a | b | c | d | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 正 | 誤 | 正 | 正 |
| 2 | 正 | 正 | 正 | 誤 |
| 3 | 正 | 正 | 誤 | 誤 |
| 4 | 誤 | 正 | 誤 | 正 |
| 5 | 誤 | 誤 | 正 | 正 |
次は「薬の体内での働き」について学ぼう
薬が体の中に入ったあと、どのようにして効果を発揮するのでしょうか?
有効成分が体のどこに届き、どうやって作用するのか――その仕組みを理解することは、登録販売者としての説明力アップにもつながります。
次回の記事では、薬が体内でどのように働くのか(作用の仕方や標的となる場所など)を、イメージしながらやさしく整理していきましょう!


