【第13回】第2章 人体の働きと医薬品 目、鼻、耳等の感覚器官 2)鼻

みなさんこんにちは。
登録販売者のためのゆる学習講座第13回。
今日は「鼻」のお話です。
鼻は普段、呼吸をしたり、においをかいだりと、当たり前のように働いていますよね。でも実は、鼻ってすごい多機能な器官なんです✨
「空気の管理センター」として、私たちの体を守ってくれている大切な存在。今日はその働きをやさしく見ていきましょう。
鼻って、どんなお仕事をしているの?
私たちの顔の真ん中にあって、普段何気なく使っている「鼻」。これは、目や耳と並ぶ大切な感覚器官の一つです。
鼻の最大の役割は、「においを感じること」物質の刺激をキャッチし、その情報を脳に伝えています。このため、鼻は「嗅覚器(きゅうかくき)」とも呼ばれています。
しかし、鼻の仕事はにおいをかぐだけではありません。体にとっては非常に重要な、まるで「空気の管理センター」のような働きも担っているんですよ。
鼻の「空気の管理センター」での3つの大仕事!
鼻の穴から喉の奥まで続く空気の通り道を「鼻腔(びくう)」といいます。鼻腔では、私たちが吸い込んだ空気をきれいにして、肺に優しい状態にするために、主に次の3つの仕事をしています。
1. お掃除(異物排除)
鼻腔の壁は、常に粘液を分泌する細胞と「線毛(せんもう)」という毛のようなものでできた粘膜に覆われています。
• 粘膜はいつも湿っていて、外から吸い込んだ空気の中のホコリや細菌などの異物を、粘液の中にしっかりと捕まえます。
• そして、その粘液に捕まった異物を、線毛が協力して喉の方へ運び出して排出するという、強力なフィルターとお掃除の役割を果たしているのです。
2. エアコンと加湿器(温度と湿度の調整)
鼻腔の粘膜には、毛細血管がたくさん分布しています。
• この血管を流れる血液の熱を使って、吸い込んだばかりの冷たい空気を温めます。
• 同時に、粘膜の湿気を使って、空気に湿り気を与え、肺に送る前に体温に近い温度にしてくれます。
• これは、肺を乾燥や急な温度変化から守るための、高性能なエアコンと加湿器のような大切な役割です。
3. においチェック(嗅覚)
そしてもちろん、鼻の本来の仕事である「嗅覚」も行っています。
• 鼻腔の粘膜には「嗅細胞(きゅうさいぼう)」があり、これが匂いの刺激を感知しています。
鼻の周辺組織と、体調が悪いときのこと
お隣さんの「副鼻腔(ふくびくう)」
鼻の周りの骨の中には、目と目の間、おでこ、頬の下などにいくつかの空洞があり、これを「副鼻腔」といいます。
• 副鼻腔は骨の形を保ち、頭の重さを軽くする役割も持っていますが、ここも鼻腔と同じ粘膜で覆われており、ホコリなどを鼻腔へ排出する手助けをしています。
鼻の調子が悪くなると…
鼻の粘膜は、外部からの刺激や炎症、アレルギーなどに弱いため、炎症を起こしやすい場所です。
• 粘膜が炎症を起こして腫れた状態を「鼻炎(びえん)」といいます。鼻炎になると、鼻水が止まらなくなったり(鼻汁過多)、鼻が詰まったり(鼻閉)といった症状が現れます。
• 鼻炎で鼻腔の粘膜が腫れてしまうと、鼻腔と副鼻腔をつなぐ細い管がふさがれやすくなり、副鼻腔にも炎症が生じることがあります。
• 鼻の疾患としては、通年性の鼻炎や慢性副鼻腔炎(蓄膿症)、鼻茸(鼻ポリープ)、嗅覚異常などが知られています。
鼻炎用点鼻薬などには、鼻の粘膜の充血や腫れを和らげるための成分(アドレナリン作動成分など)が配合されることがあります。ただし、これらの薬を使う際には、他の疾患(例えば糖尿病など)を悪化させるおそれがある成分もあるため、注意が必要です。

食品からの嗅覚情報は舌が感じた味覚の情報と脳で統合されて風味として認識されます。鼻が詰まると味がわかりにくくなるのもこのためなんですね。
鼻は「においを感じる」だけでなく、空気を掃除・加温・加湿して、体を守ってくれるありがたい存在です✨
それでは、さっそく鼻についての過去問を実際に解いてみましょう!
過去問にチャレンジ!(令和7年度・関西広域連合 問68)
鼻及び耳に関する記述について、正しいものの組合せを選べ。
a 鼻腔の粘膜に炎症を起こして腫れた状態を鼻炎といい、鼻汁過多や鼻閉(鼻づまり)などの症状を生じる。
b 副鼻腔に入った埃等の粒子は、粘液に捉えられて線毛の働きによって鼻腔内へ排出される。
c 耳垢(こう)は、内耳にある耳垢腺(汗腺の一種)や皮脂腺からの分泌物に、埃や内耳上皮の老廃物などが混じったものである。
d 乗物酔いは、鼓室で感知する平衡感覚が混乱して生じる身体の変調である。
選択肢: 1. a,b 2. a,c 3. b,c 4. b,d 5. c,d
※本サイトでの選択肢表示は学習用にレイアウトを調整しています。問題文の内容は公式の過去問題に基づいています。
出典:
関西広域連合「令和7年度 登録販売者試験問題(後半)」(PDF)
▶ 解答を見る
正解:1(a、b)
▶ 解説を見る
・a:正しい(鼻腔の粘膜が炎症を起こすと鼻汁過多や鼻閉などが生じる)。
・b:正しい(副鼻腔内の粒子は粘液にとらえられ、線毛の働きで鼻腔内へ排出される)。
・c:誤り(耳垢は外耳道にできるものであり、「内耳にある耳垢腺」という表現は誤り)。
・d:誤り(乗物酔いは主に前庭系の混乱により生じるもので、鼓室(中耳)で感知するものではない)。
⇒したがって正しい組合せは「1(a,b)」。
次回は「耳 👂」について学んでいきましょう。お楽しみに!
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