【第10回】第2章 人体の働きと医薬品 泌尿器系(その1:副腎)

管理人N
風邪をひいたとき、体がだるいとき、緊張して心臓がドキドキするとき…。
実はその裏でがんばって働いているのが「副腎(ふくじん)」という小さな臓器です。
腎臓の上にちょこんと乗っているだけのサイズなのに、体のバランスを整える大切なホルモン工場なんですよ。
今日は、この副腎について一緒に見ていきましょう。


副腎ってなに?
副腎の位置と構造
- 場所:左右の腎臓の上にちょこんと帽子のようにのっている
- 大きさ:クルミくらいの小ささ
- 構造:外側の「皮質」と内側の「髄質」に分かれる
副腎皮質の役割
副腎の外側(皮質)は3つのゾーンに分かれ、それぞれ違うホルモンを作っています。
- 球状帯(きゅうじょうたい)
→ アルドステロン:塩分(ナトリウム)や水分のバランスを整える - 束状帯(そくじょうたい)
→ コルチゾール:血糖値を保ち、ストレスに対応し、炎症を抑える - 網状帯(もうじょうたい)
→ 性ホルモン(アンドロゲン):体毛や性機能に関わる
副腎髄質の役割
内側の「髄質」からは、
- アドレナリン(エピネフリン)
- ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)
が分泌されます。
これは「闘争か逃走か(fight or flight)」反応を助けるホルモンで、心拍数や血圧を上げ、体を緊急モードに切り替えます。
豆知識①:ステロイドと副腎皮質ホルモン
お薬でよく耳にする「ステロイド剤」。実はこれは、副腎皮質ホルモンをまねて作られたお薬です。
強力に炎症を抑えるため、ぜんそくや皮膚炎など幅広く使われます。
「怖い薬」と誤解されがちですが、正しく使えば体を助けるとても重要なお薬です。
豆知識②:アルドステロンと偽アルドステロン症
アルドステロンは塩分と水分のバランスを整えるホルモンですが、
漢方薬の甘草(カンゾウ)をとりすぎると体がアルドステロンが出すぎていると勘違いし、
「偽アルドステロン症」を起こすことがあります。
症状は、むくみ・高血圧・低カリウム血症(だるさや筋肉のけいれん)。
登録販売者としては、甘草を含む薬を重複していないか確認することが大切です。
過去問にチャレンジ!
出典:静岡県 令和6年度 登録販売者試験〈後半〉 問3 より抜粋
泌尿器系に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
- 腎臓には内分泌腺としての機能もあり、赤血球の産生を促進するホルモンを分泌する。
- 尿は血液が濾過されて作られるため、健康な状態では細菌などの微生物は存在しない。
- 副腎皮質では、自律神経系に作用するアドレナリン(エピネフリン)とノルアドレナリン(ノルエピネフリン)が産生・分泌される。
- 左右の腎臓と膀胱は尿道でつながっており、腎臓から膀胱を経て尿管に至る尿の通り道を尿路という。
選択肢:1(a,b)/ 2(b,c)/ 3(c,d)/ 4(a,d)
▶ 答えを見る
- 正解:1(a,b)
- a:○(腎臓はエリスロポエチンを分泌)
- b:○(生理的には尿は無菌)
- c:× アドレナリン/ノルアドレナリンは副腎髄質から分泌
- d:× 経路は「腎臓 → 尿管 → 膀胱 → 尿道」
副腎は、体の「緊急スイッチ」と「ホルモン工場」として、とても大事な役割を担っていましたね。
次回は、この流れで「尿路(膀胱・尿道)」に進みます。尿の通り道や、感染症と薬の関わりについて学んでいきましょう!
【第9回】第2章 人体の働きと医薬品 泌尿器系(その1:腎臓)


ABOUT ME